アルバム「Nude」へのテキストを、住吉智恵さん(TRAUMARIS)よりいただきました。    2011.8.23

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(mama!milkのふたりは、打ち明けてくれた。)

震災前夜まで録音していた「Nude」の音楽は、
その5日前におこなわれた「The Night in BAROCCO」の演奏から、
1つの緩やかな弧を描いて、つながっているのだという。

写真家・湯沢英治の、さまざまな動物の骨が
彫刻のように映し出される映像「BAROCCO」と、
mama!milkの端正な音楽が、ねっとりとからみあった、あの夜。

闇のなかで仄白い骨の光だけを頼りに立ち上がる、剥きだしの音楽。
情緒のかけらまで削ぎおとし、鋭さを増した感覚は、
なれ親しんだ楽曲の、ありのままの原初的な姿を露にしていく。

(演奏後の、生駒祐子の呟き。)
「色々あったけど、ここでは裸のままの私たちでいいと思った。」

迎える私たちも容赦なく原点に引き戻された。
それまで安全なところに身を置き、ひたすら陶然としていたとすれば、
あれは、だれもきっと逃げも隠れもできない、裸の夜だったのだ。

せりあがる、言いしれない不穏な揺らぎ。
思いのたけを込めた、詩(うた)にならない詩。
涙をふき、胸をはり、また毅然と歩きだす誇らしい足どり。

「Nude」の音楽は、
いま私たちが、何を失い、何を求め、取り戻そうとしているのか、
明確な答えを差し出してはくれないけれど、
凛とした、潔い「一歩」を示してくれた。

これは、ひとひらずつ、剥かれていく音楽の告白。
生きている音楽の打ち明け話。

住吉智恵
TRAUMARIS アートプロデューサー/ライター


TRAUMARIS
2011年3月5日「The Night in BAROCCO at TRAUMARIS」 archive
mama!milk 7th album「Nude」

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