stompdesign 南 知子さんより「mama!milk / Duologue」へご寄稿いただきました。 2013.7.17

血管のようなリボンで綴じられたmama!milkの新譜は
アコーディオンとコントラバスの二人きり。
生み出されるその音は、豊かで鮮烈。
そして攻撃的で澄んでいる。
fragrance of notes、Parade、nudeと
様々な編成遍歴はこの為だったのかと、
数々の演奏、様々な楽器の響き、異国の空気まで、
吸収し取り込んできたのだと思った。
nude以降、mama!milkの演奏を聴く度に、
体温の上昇、血の香り、
身体の中から揺さぶられるような感覚でわくわくしていた。
静かにひっそりと、力強く、冷たく冴える高揚感。
Duologueは、この美しい音楽は、戦いの音楽だ。
そしてやはり戦いは、まずは一人でするものだ。
自分(達)の世界のために、まずは一人で戦うのだ。
今の世の中を、良い風に思っていない人は多いだろうし、
私もそう思っている。
だけど、世の中と自分の世界は「=」ではない。
「今現在」はいつも混沌としていて、
目につきやすいところには、醜いものがいっぱいで
それは、戦いを途方もないものに感じさせ、
私を寂しく不安にさせるけど
だから、今現在、美しいものは存在する。
と、はっきりと感じることができるのは、
私にはとても心強く、大げさでなく生きる希望だ。
しかもこの、耳から入って反射的に、理屈抜きに、
身体で感じる喜びは。
もちろんmama!milkは私や誰かの為に戦っているのではなく、
手を差し伸べてくれるものでもない。
勝手に少し救われて、まだイケル、だろうという気持ちにさせてくれるだけ。
それがどれだけ大事かは、例えようもなく、
そしてやっぱり、自分は自分で、戦わないといけないのでしょう。
争いではない戦いを、途方もなく、終わりもなく、
時には孤独に、強く、美しく、優雅に。
そういうのをロマンティックと言うのだろうと思う。
バイオレンスの同居するロマンティック、
人間にはそういうのが、必要だと私は思っている。
そんなmama!milkに、敬意を表して。
stompdesign 南 知子

mama!milk / Duologue デュオローグ [ windbell four 120 ] 2013年7月19日発売
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